BARAKA歌詞の世界(16)Greatest Folly

4枚目のアルバムに収められていますが、その後は取り上げられることもなく、少なくともここ数年はライブでもやっていないので、ある意味で「目立たない」存在ともいえそうなこの曲。ミディアムテンポで、淡々と進むかと思いきや、最初の間奏部分はがっちり変拍子(ここはハリケーンが脳をふきとばしている場面でしょうか(笑))、という、聞けば聞くほどなかなか味わい深い曲ですが、実は歌詞も…….。
まずはとにかく下にある歌詞(日本語訳もさらに下についています)を読んでみてください。タイトルはまさに訳詞にある通り「愚の骨頂」。テレビでのキャスターの変な質問に頭が混乱してしまう、と、文字通り取ればそんな内容です。
でも、よく考えてみると、そもそもキャスターの質問が変ですし、本当はどうでもいい話。だから、最初はそのやりとりを「愚の骨頂」と言っていたはず。でも、そこから混乱をきたす主人公。そして今度は分からない自分を「愚の骨頂」だと思うようになって、脳が吹き飛ばされていく…。
なんとなく、メディアに対する風刺とも取れなくもないですし、そこに振り回されてしまっている私たちへの警告のようにも取れなくもない…。
まあ、いつもそうですが、皆さんなりに解釈して味わってみてください。


Greatest Folly

I can’t begin to walk
Since I watched a TV show
The presenter questioned the guests
“Which foot do you use for your first step?”

Silly!? The Greatest folly
Silly!? The Greatest folly

I began to think about myself
I realized I have no idea
However hard I try
My feet stop moving

Silly!? The Greatest folly
Silly!? The Greatest folly

Hurricane blows my brain away
Hurricane blows my brain away

I am ashamed of myself
For my lack of memory

I hit upon a good idea
I’ll call my mother
And ask maybe tomorrow


俺は歩き出せないでいる
あるTV番組を見てからだ
キャスターがゲストに向かって聞いた
“どちらの足から歩き出しますか”

バカげてる 愚の骨頂だ
バカげてる 愚の骨頂だ

自分の場合を考え始めると
まったくわからないことに気付いた
どんなにがんばっても
足は動いてくれない

バカげてる 愚の骨頂だ
バカげてる 愚の骨頂だ

嵐が俺の脳をふきとばす
嵐が俺の脳をふきとばす

忘れっぽいのには
自分ながらあきれてしまう…

いい考えがひらめいた
明日の朝おふくろに電話して
聞いてみよう

BARAKA歌詞の世界(15)Strawberry Wine

いよいよこの曲の歌詞の回がやってまいりました、Strawberry Wine。ぜひとも紹介したい歌詞ばかりではありますが、その中でもMUST READって感じの歌詞です。
ライブでもよく演奏されるので、ご存じの方も多いと思います。3枚目のアルバムBharmadのオープニングを飾っています。Single用のショートバージョンも出ています(アルバムAtlanticに収録されているのもそのバージョンです)。
このタイトル、一風変わっていますね。イチゴのワインって何だろう、という気がしますが、そう思って調べてみると最近は国産のいちごワインもあるんですね。
ただし、この歌は、時々ライブで説明もある通り、とあるオタマジャクシのあだ名なんですね。歌詞を読んでいただければ分かると思いますが。そのオタマジャクシの物語です。
自分は特別かな、と思ったけど、なかなかカエルになれない。その間にも友達はカエルになって、あるものはテレビのコマーシャルに出てる、自分は一体何をしているんだろうと焦ったり。そうかと思うと後半は夢の世界に移り、とても幻想的なシーンになります。読めば読むほど深い歌詞ですね。
因みにコマーシャルに出ているカエル、というと、バドワイザーのCMが有名ですね。3匹のカエルが出ていました。あの3匹、BudとWeisとErという名前なんだそうです。どうでもいいですが(笑)。

改めて読んでから聴いていただくと、より深くBARAKAの世界を感じられるのではないかと思います。いつかこの歌詞が童話になることを願いつつ。

Strawberry Wine

There was a tadpole called Strawberry Wine
Because he flushed with excitement
He was young and sprightly

He didn’t want to be a common frog
And believed he was a special one
Strawberry Wine looked up at the sky
At the end of 1999

10years later, he was still in the pond
As time went by, he became impatient
One of the classmates, Billy the frog
Appeared in a TV commercial

He was in the depths of despair
He thought he was the only one left behind
Nothing soothed Strawberry Wine
The little forest was full of his cries

I don’t know what to do, what to do
I don’t know what I can do, what can I do?
I don’t know what I should do, what should I do?

Strawberry Wine
Still in the pond
Strawberry wine
Still in the pond
One night he had a dream, a strange dream
A wonderful dream, a mysterious dream

He was floating on an ocean
That he had never seen before
Some dolphins smiled kindly at the Strawberry Wine
He was transformed into a great whale

Suddenly he left the water
And rose straight up into outer space
He was struck by its beauty and shed tears
The teardrops changed into stars

ストロベリーワインと呼ばれるおたまじゃくしがいた
興奮すると赤くなったから
彼は若く自信に満ち溢れ溌溂としていた

彼は普通の蛙にはなりたくなかった
自分が特別だと信じていた
ストロベリーワインは空を見上げた
1999年の終わりだった

10年経っても彼はまだ池の中
時が経つにつれて焦りを感じるようになっていた
クラスメイトのビリーザフロッグなどは
テレビのコマーシャルに出演していた

彼は絶望の淵に立っていた
たった一人取り残されたんだと感じていた
何物もストロベリーワインを慰めてはくれない
小さい森は彼の叫びで満たされていた

「何をしたらいいんだ!」
「一体何ができるんだ!」
「何をすればいいんだ!」
「何をしなければならないんだ!」

ストロベリーワインは池の中
ストロベリーワインは池の中

ある晩彼は夢を見た 不思議な夢を
驚くべき夢を 神秘的な夢を

彼は見たこともない大きな海に漂っていた
イルカがストロベリーワインに優しく微笑みかけた
紛れもなく彼は鯨だった

突然彼の体は水面から離れ
大気圏外へ真っ直ぐ登っていった
彼はあまりの美しさに涙を流し
その涙の雫は星に姿を変えた

BARAKA歌詞の世界(14)Sorrow for Tomorrow

歌詞の世界、次は日本語歌詞のSorrow for Tomorrow。
セカンドアルバムに収録されて以来の登場となります。以前紹介したAnt Lionもそうですが、この曲も日本語歌詞バージョンのみですね。
タイトルはなんとなく訳しにくいですね。「明日のための悲しみ」というとなんとなくそれっぽいですが、分かったような分からないような。ただ、歌詞を見ていくと、「光の向こうへ あなたは消えた」という部分があるので、誰かとの別れ、そしてその悲しみを表現していると思われます。「もがくぼくの涙」という歌詞もそんな印象ですね。
曲全体のしっとりとした雰囲気とも相俟って、何か心の底に染みていく、深くて重い悲しみが感じられます。ただ、それが誰に、もしくは何に対してなのかは読み解けません。
というか、読み解かない方が良いんでしょうね。聴いている人たちそれぞれの心に、どこか共感する何かがあれば、という思いなのかも、ですね。じっくり味わって聞いてみてください。


Sorrow for Tomorrow

横たわる沈黙と
絡み合う記憶
やわらかな影だけが
現実を纏う

海鳴りの底
したたる銀の水

戯れる煙と
響かぬ滴

光の向こうへ
あなたは消えた

Sorrow for Tomorrow
もがくぼくの涙
今を流れ

Sorrow for Tomorrow
閉じるあなたの声
今を流れてる

歴史の欠けらを
隠した扉
ぶつけて弾けて
砕けた時間

光の向こうへ
あなたは消えた

Sorrow for Tomorrow
軋むぼくの鼓動
今を溶かす

Sorrow for Tomorrow
滲むあなたの空
今を溶かしてく

Sorrow for Tomorrow
もがくぼくの涙
今を流れ

Sorrow for Tomorrow
閉じるあなたの声
今を流れてる

流れてる
流れてる

BARAKA歌詞の世界(13)Vampire

BARAKA歌詞の世界、続きましてはVampire。BARAKA IVに収録されて以降取り上げていなかったので、歌入りベストで久々の登場です、もっとも、実は最近のライブでも演奏したりしていますので、そこで聞かれた方もいるかもですね。
いきなり「人間になりたい」という悲痛な(?)叫びから入るこの曲ですが、タイトルにある吸血鬼(ヴァンパイア)って、いったいどの吸血鬼なのでしょうか。
ヒントは「人間になりたい」という歌詞です。なんとなく聞き覚え、ないですが?頭に「早く」をつけると、もしかしたら「あー」と思われる方もいるかもしれません。そう、「妖怪人間ベム」のオープニングソングです!実はあの「妖怪人間ベム」がこの歌のモチーフになっています(笑)。まあ、厳密にはベムは吸血鬼ではないですけどね。半分人間、半分妖怪、という意味では確かにぴったりです。
妖怪人間ベムという番組自体、覚えている人いますかね。先ほどの歌詞も入っているオープニング曲や、おどろおどろしい雰囲気の絵が印象的でした。関東地区では月曜日の夜7時半からフジテレビで放映されていたんですね。そしてさらに調べてみると、同時期に手塚治虫の漫画「バンパイヤ」がテレビドラマ化されています(これもフジテレビ)。まあ、どうでもよい情報ですが(笑)、なんとなく時代を感じますね。

そんな番組から、当時の依知川伸一少年は何を思ったのでしょうか。
じっくり歌詞を、そして曲を味わってください。あ、英語の歌詞の下に日本語訳、ついています(他の歌詞の世界もそうなっています)。


Vampire

I wanna be, I wanna be,
I wanna be human being
I wanna be, I wanna be, I wanna be,
I wanna be human being

I’m half man half-vampire
A day has gone – I’m left alone
I’m half man half-vampire
A century has gone – I’m left alone

I’ve forgotten my birthday
I only know it was in winter
Thousands of years have passed by
I built a mountain of good deeds one after another
And became able to live without sucking blood

I’m half-man half-vampire
A year has gone – I’m left alone
I’m half-man half-vampire
A millennium has gone – I’m left alone

I wanna be, I wanna be,
I wanna be human being
I wanna be, I wanna be, I wanna be,
I wanna be human being

I’m half man half-vampire
A day has gone – I’m left alone
I’m half man half-vampire
A century has gone – I’m left alone

Among the monster beings the human is an idol
We can’t have goals
Because we can never die
Some of my friends stopped trying to be human
Because of the modern ways
Yes, sometimes I can’t understand you
But I wanna believe in you

人間に 人間に 人間になりたい
人間に 人間に 人間に 人間になりたい

俺は半分人間 そして半分吸血鬼
1日が過ぎて行く 俺は取り残されたまま
俺は半分人間 そして半分吸血鬼
100年が過ぎて行く 俺は取り残されたまま

誕生日は忘れてしまった
冬だったってことは知っているけど…
幾千年が俺の側を通り過ぎていった
俺は善行を重ね
血を吸わないでも生きていけるようになった

俺は半分人間 そして半分吸血鬼
1年が過ぎて行く 俺は取り残されたまま
俺は半分人間 そして半分吸血鬼
1000年が過ぎて行く 俺は取り残されたまま

人間に 人間に 人間になりたい
人間に 人間に 人間に 人間になりたい

俺は半分人間 そして半分吸血鬼
1日が過ぎて行く 俺は取り残されたまま
俺は半分人間 そして半分吸血鬼
100年が過ぎて行く 俺は取り残されたまま

妖怪たちは人間にあこがれている
彼らは死ぬことができないから
目標をもつことができないのだ
友人の何人かは最近の人間を見て
人間になることをあきらめてしまった
そう俺も時々あなたがたが分からなくなる
でも俺はあなたがたを信じたい