歌詞の世界もいよいよ大詰め、あと3曲となりました。
で、今回お届けするのがDawn in the Jungle。この曲はデビューアルバムで日本語版、その後、Maxi Singleの中でインストになり(これがまた大胆なアレンジ)、5枚目で英語版に変化していきました。
曲としてはとにかくドラマチックな展開ですね。Zeppelinの天国への階段というか、パープルのチャイルド・イン・タイムというか、バラード風からの荘厳な展開を持った曲ですが、さらに変拍子まで入ります(その意味で、これらの名曲と比較するのは安直かもしれません。すみません)。
で、今回は歌詞に注目をするわけですが、この歌詞がまた深いというかとにかく壮大ですね。
あ、以下の「一つの解釈」を読む前にぜひ歌詞そのものを読んでみてください(英語歌詞の下に日本語訳があるのはいつも通りです)。
お読みいただけましたか。
さて、この歌のテーマは何か、というと、うーんなんでしょうか。「人は自然のほんの一部」だということを思い知ろう、とでも言えばよいのでしょうか。
タイトルは「ジャングルの夜明け」ですね。誰もいない、人の手が全く加わっていない未開のジャングル。そこでの夜明け。それまでの絶望的ともいえる静寂を従えていた暗闇に一条の光が射し、すべてが美しく輝く瞬間。この圧倒的な景色の前に、人間という存在とは一体何かを問うているようです。それに対する直接的な答えは示されていませんが、魂の深淵から湧き出る「声」を聴こう、と呼びかけています(このサビは本当に印象的ですね)。それによって「自然の神秘を取り戻そう」と。何かを忘れてしまった現代人に対する大いなる警告とも取ることができそうです。その何かとは……。
因みに、デビューアルバムの日本語版の歌詞も、ほぼ英語の歌詞と同じ流れなのですが、日本語版にのみ存在する重たい一節があるんです。それが「自由という名の束縛」という一節。自由と束縛、本来は相反する2つですが、その一方、私たちが普段「自由」だと思っているものは、実は「牙をなくし」「爪をおられた」自由だと言っているように感じます。さてそれは一体どういうことでしょう。
直接関係しないかもしれませんが、最近NHKで「欲望の時代の哲学」という番組をやっていました。マルクス・ガブリエルというドイツの哲学者が、現代社会をどう見るか、といった内容なのですが(かなり端折っています)、その中で「人間は本来自由の感覚・意思をもっているのに、資本主義や経済といったものが自由に影響を与え、欲望の奴隷と化した」という議論が出てきました。欲しいものが何でも買えるのが自由、欲望が何でも満たせるのが自由、というのは実は作られたまがい物の「自由」で、その「自由」に束縛されているのではないか、というのが番組の言いたいことのように感じました。そして、この番組を見ながら、この曲の「自由という名の束縛」というフレーズが何度も巡りました。
さらに横道にそれますが、その時に同時に思い出したのが、カナダのRUSHというバンド(3人組ですね。BARAKAは海外では「日本のRUSH」と呼ばれたりもします)の名曲Freewill(自由意志)の中の「If you choose not to decide, you still have made a choice」(何も決めないということもあなたの一つの選択だ)という歌詞。現代では常に「決める」ことを追い求めすぎていますが、そこから一歩引くのも本来の自由意志ということでしょうか。
さらにさらに横道にそれると、それってくまのぷーさんがクリストファーロビンに「何してるの?」と聞かれた時の名セリフ「何もしないことをしてるよ」にも通じるような。んー、ここまでくるといくら何でも脱線が過ぎますね(笑)。
すいません、ついつい長くなってしまいました(が、まだまだ書き足りないくらいだったり(笑)するくらい、深い歌詞です)。あとは皆様でじっくり味わってみてください。
Dawn in the Jungle
Breaking the silence without sounds
The light is rushing with the wind of space
It must be the most beautiful ritual
The light is coming with a promise of perfection
Breaking the darkest dark
A new day is born
I shiver with fear, the air cuts like a knife
I can’t help it, I am on my knees
The throbbing pain to survive
Echoes in the forest
Telling me the truth
Leading me to the place
“You, human, you are just a part of Nature”
I heard the word of the wind
The reach my mind
I stand up on my feet
My inner man is burning
It’s time to release the long-lost wild
Telling me the truth
Leading me to the place
Listen to the voice
Listen to the voice
Voices deep inside
Losing fangs just to bite
Trimming claws not to fight
Being tamed like a sheep
Being born behind bars
Get it back, get it back
Get the nature energy back to us
Telling me truth
Leading me to the place
Listen to the voice
Listen to the voice
Voices deep inside
静寂の扉を音もなく押し開けて
宇宙を従えた光が風を映す
この世で最も美しい儀式
光は完全なる約束と共にやってくる
深い闇を割いて夜明けが訪れる
肌を震わす張りつめた空気
跪かずにはいられない
生きるための疼きが
森の中でこだまする
真実を告げよ そこへ導いてくれ
“人は自然のほんの一部なのだ”
無言の圧力に思い知らされる
言葉は胸を刺し俺は立ち上がる
無意識の底でくすぶり続ける
野生を取り戻せ
真実を告げよ そこへ導いてくれ
「声」を聴け 「声」を聴くんだ
魂の深淵から湧き出る声を
牙をなくしたまま
爪を折られたまま
飼いならされたまま
生まれながらに隔離されてる
自然の神秘を取り戻せ
真実を告げよ そこへ導いてくれ
「声」を聴け 「声」を聴くんだ
魂の深淵から湧き出る声を
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