BARAKA歌詞の世界(10)The Chairs Made of Guns

2枚組の歌入りベスト、The Best of BARAKA SONGSのDisc1の最後を飾るのがこの曲です。
ということは、この企画もようやく半分まで来た、ということですね(まだ半分!?とも言えます(笑))。

さてこの曲。元々は6枚目のアルバムに入っていました。その時のタイトルはMade of Gunsです。で、その後9枚目のアルバムにインストとして再構成され、その時のタイトルがThe Chair Made of Guns(椅子が単数形です)。このインストバージョンはThe Best of BARAKAにも収録されていますね。で、今度歌入りのベストに入ると椅子が複数になってタイトルにも登場。んー、変幻自在というかなんというか(笑)。
BARAKAの歌詞は様々なタイプのものがありますが、これは比較的「何か」が分かりやすい、説明的な歌詞ですね。モザンビーク、家族の写真、椅子。でもその椅子がMade of Guns、というわけです。モザンビークはアフリカ南東部に位置する国ですね。マダガスカル島の西側にあって、海に面しています。1992年まで内戦が続いていて、この内戦だけで100万人が犠牲になったとも言われています。
内戦終了後も、貧困、低教育、医療不足等様々な問題を抱えていたのですが、平和と復興に近づける活動の一つとして、「銃を鍬へ」というプロジェクトが開始されました。そこで回収された銃の一部がアート作品となり、そしてその「椅子」という作品がこの曲へとつながっています。
ところで、武器をアートに変えた作品の一部は日本の愛媛県にあるのだそうです。2019年9月にも西条市でアート展が開催されたとのこと。BARAKAはあいにく愛媛には訪れたことがないのですが、機会があればその作品たちにも出会えるかもしれません。

そんな深いテーマが描かれた本作。ぜひ聞いてみてください。あ、インストとの聴き比べも面白いです。かなり異なるバージョンとなっていますよ。


The Chairs Made of Guns

I gazed blankly at a paper
I found a photo of Mozambique
A family and two chairs
The father read a paper like me

It seems ordinary life
Heartwarming and peaceful
But I felt something was wrong
With their nerveless faces

I gazed blankly at a paper
I found a photo of Mozambique
It seems ordinary life
Heartwarming and peaceful;

A family and two chairs
The father read a paper like me
But I felt something was wrong
With their nerveless faces

Relaxing on the chairs
Chairs made of guns
Relaxing on the chairs
Chairs made of guns

It seems ordinary life
Heartwarming and peaceful
But I felt something was wrong
With their nerveless faces

Relaxing on the chairs
Chairs made of guns
Relaxing on the chairs
Chairs made of guns

In the sunlight filtering down through the trees
In the sunlight filtering down through the trees

Relaxing on the chairs
Chairs made of guns
Relaxing on the chairs
Chairs made of guns


ぼんやりと新聞を眺めていると
モザンビークの写真が眼に入った
家族と2つの椅子
父親は僕のように新聞を読んでいる

何気ない日常のひとコマに見えた
ほほえましく平和な光景に
でもよく見ると無気力な表情の中に
ある違和感が浮かんでる

ぼんやりと新聞を眺めていると
モザンビークの写真が眼に入った
何気ない日常のひとコマに見えた
ほほえましく平和な光景に

家族と2つの椅子
父親は僕のように新聞を読んでいる
でもよく見ると無気力な表情の中に
ある違和感が浮かんでる

彼らは銃でできた
椅子でくつろいでいた
銃で作られた椅子で
くつろいでいたんだ

何気ない日常のひとコマに見えた
ほほえましく平和な光景に
でもよく見ると無気力な表情の中に
ある違和感が浮かんでる

彼らは銃でできた
椅子でくつろいでいた
銃で作られた椅子で
くつろいでいたんだ

木漏れ日の中で
木漏れ日の中で

彼らは銃でできた
椅子でくつろいでいた
銃で作られた椅子で
くつろいでいたんだ

BARAKA歌詞の世界(9) Ant Lion

歌詞の世界についに日本語の歌詞、登場!1stアルバムのオープニングに収録されている、BARAKAのデビュー曲、Ant Lionです。日本語だから聴けばわかる、という説もありますが、今や幻のアルバムのため、歌詞カードも幻になってしまっていることから、こちらで紹介いたします。

力強く重い4分の5拍子とともに、歌詞も重くのしかかってきます。蟻地獄に飲み込まれていく、でも諦めない、といったエネルギーも感じられます。この蟻地獄を英語で言うとAnt Lionなんです。ご存じの通り、ウスバカゲロウの幼虫のことですし、その巣のことを指すことも多いですね。

それにしてもアリジゴクの英語名にライオンって入っているのは妙だなー、と思って調べてみると、なんと中世ヨーロッパの伝説上の生物ミルメコレオに遡るそうです。ライオンの父とアリの母を持つという生物で、顔はライオン、首から下はアリなのだそうです。どうも旧約聖書の誤訳から生まれたものらしいですが(ややこしいので説明略)、それがいろいろと転じて、ライオンのように隠れて獲物であるアリを狙う生物となり、その結果、アリジゴクのことを指すようになった、のだそうです。すべてネット情報の受け売りですが(笑)。

それにしても、アリジゴク、成虫になるとウスバカゲロウですが、その別名という俗称が極楽トンボなんですね。地獄から極楽へ転じるとは縁起がいい、ということなんでしょうか。その一方、「薄馬鹿下郎」なんて失礼な書き方をされることもありますが(笑)。ま、もはやどうでもよいですね(歌詞の格調を下げてしまいました)。じっくり歌詞を味わいながら再度聴いてみてください。じっくり聞けばあなたもBARAKAの素晴らしさから逃げられなくなりますから。

ANT LION

ANT LION 鏡に閉ざされた
ANT LION 出口のない世界
 
ANT LION 鉛に覆われた
ANT LION 光のない世界
 
ANT LION 誰かを踏みつけて
ANT LION 誰かに殴られて
 
迫りくる恐怖に
身動き一つ出来ない
蟻地獄へ吸い込まれていく
 
どんなにもがいても
這い上がれない 逃げられない
それでも祈るか このまま諦めるのか
 
千切れた腕と 引きつる顔
力の限り叫んでも
蟻地獄へ転げ落ちていく
 
ANT LION fly
ANT LION fly
ANT LION fly
ANT LION fly

 

 

BARAKA歌詞の世界(8) Let Me In

4枚目の最後を飾る楽曲Let Me In。今でもライブで(少なくとも曲の一部が)演奏されたりしますが、実は正式なアルバムとして収録されているのは、4枚目と歌入りベストのみです。これまでのベスト的アルバムには入ってなかったんですね。少し意外感もあります。
さてこの曲ですが、歌詞の難解さ、という意味ではBARAKAの中でもトップクラスなのではないでしょうか。
いきなり「瞳の白い部分に飛び込みたい」って……白目ですか?いやいや、誰目線?目薬!?ではないでしょうけど(^^;)。
よくわかりません……なので、あとは読んでください!

というのも寂しいので、強引に妄想を巡らせてみます。
「白目」と聞いて思い出すのは、「白目が常にはっきり見えているのは生物の中で人間だけ」という話です。その理由は「それによって表情によるコミュニケーション力が高まるから」ということなのだそうです。確かに「目は口程に物を言う」ともいいますし、本当の感情は「目」に出る、などともいわれますが、なるほどそれは白目が見えているからということなんですね。ある意味で白目は人の「潜在的な心理が現れるための場所」なのかもしれません。
となるとそこに飛び込むということは、「あなたの本音に触れたい」ということなんでしょうか。そうなると、次の「魂に飛び込みたい」ともつながるような気がしますが、それが「死にたくない」という歌詞とどう関連しているのか、というとさっぱりです(^^;)。
白目に飛び込む?命がけ?あれ、もしかしてこれ「ミクロの決死圏」のこと(笑)??

とまあ、妄想を膨らませてみましたが、本当のところはよくわかりません(笑)。まあ、それでいいのかもしれませんね。
皆さんも曲を聴きながらいろいろと妄想してみてください。


Let Me In

I wanna dive into the whites of your eyes
I wanna dive into the whites of your eyes
I wanna dive into the whites of your eyes
I wanna dive into the whites of your eyes

I wanna jump into your soul
I wanna jump into your soul
I wanna jump into your soul
I wanna jump into your soul

I don’t know why I don’t know why
I don’t know why
I don’t know how I don’t know how
Show me the way
I don’t know why I don’t know why
I don’t know why
I don’t know how I don’t know how
Show me the way

Let me in
Let me in
Let me in
Let me in

I wanna dive into the whites of your eyes
What is at the bottom of your eyes?
I wanna jump into your soul
What is at the bottom of your soul?

I don’t wanna die
I don’t wanna die
I don’t wanna die
I don’t wanna die

Whites of your eyes
Whites of your eyes
Whites of your eyes
Whites of your eyes

I wanna dive into your eyes
I wanna dive into your eyes
I wanna dive into your eyes
I wanna dive into your eyes

 

君の瞳の白い部分に飛び込みたい
君の瞳の白い部分に飛び…
君の瞳の白い部分に…
君の瞳の…

君の魂に入り込みたい
君の魂に入り…
君の魂に…
君の…

どうしてだろう?
何でだからかはわからない
どうしよう?
どうすればいいのかもわからない
誰か…教えて

どうか
僕を
受け入れて
ほしい

君の瞳の白い部分に飛び込みたい
君の瞳の奥には何があるのか
君の魂に入り込みたい
君の魂の底には何があるのか

死にたくはないけど…
死にたくはない…
死にたくは…
ない…けどね

君の瞳の白い部分
白眼?
白眼!
白い部分に

君の瞳の中に飛び込みたい
君の瞳の中に飛び込みたい
君の瞳の中に飛び込みたい
君の瞳の中に飛び込みたい

BARAKA歌詞の世界(7) Come Fly with Me

歌詞入りのBARAKAの楽曲を集めたTHE BEST OF BARAKA SONGSの収録曲の歌詞について書いてきておりますが、そのDisc1の7曲目がCome Fly with Meです。全部で19曲収録されていますから、まだまだありますねー(^_^;)。

この曲、3枚目に収録されているだけで、その後は取り上げられておらず、「久々に聴いた」「初めて聴いた」という方も多いかも知れませんね。ロケットの打ち上げ場面のような音から始まり、その後、淡々と同じビートのドラムとベース音が刻まれる中、宇宙空間を漂うかのようなギター音と静かな歌声が特徴的な曲です。
さて、歌詞です。歌詞を普通に読んだだけではなんだろう、という感じがするかもしれませんね。ただ、歌詞カードの最後には「鬼塚飛行士に捧ぐ」と書かれていて、それがこの曲を紐解くカギになっています。
鬼塚(Ellison Onizuka)飛行士、覚えている方もいるかもしれません。1986年1月28日、スペースシャトルチャレンジャー号の打ち上げ直後の爆発事故でお亡くなりになられた日系三世です。ハワイ島のコナ生まれで、お父様が福岡、お母様は広島にルーツを持たれていたそうです。
彼は日本にルーツがあることを誇りに思い、箸を使って食事をしたり、家には日の丸を掲げていたそうです。また、父方のルーツである福岡県浮羽町(現在のうきは市)を訪れたりもしています。
この曲のタイトルにあるCome Fly with Meは、チャレンジャー号に乗り込む前に母に送った手紙の最後に書かれていた文章です。ということで、歌詞にある「愛する人」は「母」ということになりますね。
彼の業績、そしてその人柄から、死後も多くの人に称えられ、その名前が残っています。例えば、ハワイ島にあるコナ国際空港は2017年1月に「エリソン・オニヅカ・コナ国際空港」に名称が変更されています。また、福岡県うきは市でも「エリソン・鬼塚氏とのつながりを後世に語り継ごう」ということで、2016年には没後30年記念イベントが開かれています。そして2017年にはなんと、彼がチャレンジャー号に持ち込んだサッカーボール(チャレンジャーの残骸から奇蹟的に回収されたもの)が31年という時を経て宇宙ステーションに届けられました。
ネット等で調べると様々な情報が得られますが、彼の人柄と故郷ハワイと日本への思いの強さは感動的なものがあります。きっと、そうした人柄に想いを馳せ、無念の事故を思い、作られたのがこの曲なんでしょうね。
そう思って聴くと、少し違って聞こえてくる気がしませんか。

Come Fly with Me

He had gone to the world
That nobody knows
He left these words
To his loved ones

“Come fly with me”
“Come fly with me”

The shuttle was launched into the universe
The nightmare was launched into the sky

“Come fly with me”
“Come fly with me”

The sky was broken into pieces
Time stood still for a while

“Come fly with me”
“Come fly with me”

The prayer missed their target
The prayer wasn’t heard

誰も知らない世界へと彼は旅立った
愛する人への言葉を残して

Come fly with me
Come fly with me

シャトルは宇宙へと 悪夢は空へと

Come fly with me
Come fly with me

空は粉々に砕け 白い時間だけが漂っていた

Come fly with me
Come fly with me

祈りは届かなかった
祈りは届かなかった