BARAKA歌詞の世界(6) How Deep is the Sky?

さて、6曲目。How Deep is the Sky?です。もともとは3rdアルバムBharmadのラストに収録されていたのですが、Baraka VIではアコースティックかつちょっとショートバージョン。ベストのSongsに収録されているのもこちらですね。短い分、元々あった歌詞でないところがあります。
この曲はご存知の方も多いと思いますが、明治・大正・昭和を生きた、といっても実は26歳の若さで亡くなられた女流詩人、金子みすゞさんの詩「大漁」がモチーフとなっています。金子みすゞさん、最近はいろいろなところで取り上げられていますね。
「大漁」という詩、是非ともネット等でご確認いただければと思いますが、その内容は歌詞の冒頭に出てくる部分にある通りです。「大漁に喜ぶ人々」と「海底に広がる無数のイワシの葬式」との対比という、何とも言えない深みのあるというか、重みのある詩です。
それにしても何故に曲のタイトルは「空はどのくらい深い?」なんでしょうか。イワシの大漁話が「空の深さ」とはこれ如何に?しかも「広い」ではなく「深い」とは?そして歌詞にある「君の」とは(英語ではin your life)?ここは皆様自身で考えてみてください。「真昼の星」という言葉もいったいどこから?
でも、そんな謎解きは無粋かもですね。金子みすゞさんももちろんとてつもなく素晴らしいのですが、それをモチーフにしたこの歌詞(BARAKAワールドであり、依知川ワールドですね)もなんとも味わいのある、哲学的な歌詞に仕上がっています。何も考えず、感じればよいのかも。

因みに、金子みすゞさんの代表的な詩、「私と小鳥と鈴と」の最後に「みんなちがって みんないい」という有名な一節がありますが、まさにBARAKAの三人って、「みんなちがって みんないい」ですよね(笑、ちょっと意味違うかもですが)。
ということで(どういうこと?)、是非とも曲を聴きながら歌詞の世界を味わってみてください。

How Deep is the Sky?

The people that caught the sardines
Rejoiced and celebrated
But meanwhile
At the bottom of the sea
How many funerals were held

This wonderful story was written by a lady poet in the 1920’s
Now is the right time to think about what she said
She was the “Golden Child”
She was the “Beautiful Bell”
Can you see the midday stars?

The people that caught the sardines
Rejoiced and celebrated
But meanwhile
At the bottom of the sea
A million funerals were held

How deep is the sky in your life?
We are what we feel
How deep is the sky in your life?
We are what we want

How deep is the sky?
How deep is the sky?

 

「大漁のイワシを前に祭のように喜ぶ人々
海の底ではどれだけのイワシの弔いが……」

これは1920年代に女流詩人によって書かれた詩
今こそが彼女の言葉を考える時なのではないだろうか
彼女は「金の子供」
彼女は「美しい鈴」
君に真昼の星は見えるかい?

「大漁のイワシを前に祭のように喜ぶ人々
海の底では何万ものイワシの弔いが……」

君の空の深さはどのくらい?
人は感じ方でわかるもの
君の空の深さはどのくらい?
人は求めるものでわかるもの

君の空の深さはどのくらい?
君の空の深さはどのくらい?

BARAKA歌詞の世界(5) SEA

この曲、1stアルバムに収録されていますが、その時の歌詞は日本語でした(最後だけ英語ですが)。5枚目のアルバムに再収録される際にアレンジも少し変え、歌詞も英語に。ただし歌詞のに込められた意味は同じで、「女性は海である」ということ。そして「母」と「海」の不思議なつながりについても歌われています。歌詞の中にある漢字はお分かりだと思いますが、フランス語は母がmèreで海がmer、発音は同じメール、なるほど、ううむ、深い。因みに英語でメール(メイル、Male)はオス、つまり男性ですが、ま、それはどうでもいいですね(^_^;)。
ところで、この歌詞、愛する女性への歌ともとれなくはないですが、BARAKAって恋愛の曲、結構まれであることに今さらながら気づかされました!その観点で歌詞を見ると、万葉集的な表現とも受け取れなくもないような……。
あとは歌詞を読んでいろんな想像をめぐらせてみてください。曲も聴きながら是非聞いて見て頂ければ。

Sea

Sometimes I feel the sea in you
Sometimes I touch the sea in you
I can’t explain in words
The sea and you have marvelous power
I heard the water, it’s like seawater

“Sea” is in “Mother” in French
“Mother” is in “Sea” in Chinese
They are the same both great and grand
I remember something mysterious in you

I give myself to quiet waves
I flow and go nowhere
There’s nothing to be afraid of

I’m nestling on the flood
I’m nestling up to you
I’m nuzzling on the ebb
I’m nuzzling up to you
I’m longing for the past
I remind myself to be with you

Sometimes I feel the sea in you
Sometimes I hear the sea in you
I can’t explain in words
The sea and you have marvelous power

I leave myself to raging tempests
I fall and go nowhere
There’s nothing to be afraid of

I’m snuggling with the flood
I’m snuggling up to you
I’m cuddling with the ebb
I’m cuddling up to you
I’m thinking of the past
I remind myself to be with you

I’m drifting on the sea
I’m floating on the sea
I’m drifting on the sea
I’m melting into you

 

時々あなたに
海を感じ 僕は触れる
言葉になんてできない
海もあなたも不思議な力で溢れてる
羊水は海水と同じ成分だって
誰かが言ってた

フランス語では“母”の中に“海”があり
漢字では“海”の中に“母”がある
海も母もなんと偉大なことか
あなたの中で神秘を思い出す

凪いだ海に身をゆだね
あてもなく漂う
恐れるものなど何もない

満ち潮に横たわり
あなたに寄り添い
引き潮に横たわり
あなたに寄り添う
太古に思いをはせ
自分を思い出す

時々あなたに
海を感じ 僕は聴く
言葉になんてできない
海もあなたも不思議な力に溢れてる

嵐の海に身をゆだね
どこまでも落ちていく
恐れることなど何もない

満ち潮に横たわり
あなたを抱きしめ
引き潮に横たわり
あなたを抱きしめる
太古を思いめぐり
自分を思い出す

海に漂い 漂い あなたに溶ける

BARAKA歌詞の世界(4)Top of the Universe

歌詞の世界。続きましては、Top of the Universe。
BARAKA6枚目、つまり歌詞入りの楽曲が入っている最後のアルバムに収録されています。
疾走感のある曲展開、そして間奏部分の変幻自在な転調が耳に残る、これも名曲です。
歌部分も、依知川さんと一生さんの掛け合いが絶妙で、うぉーー、って感じになります(すいません、一人で勝手にテンションあがってしまいました(^_^;))。
さて、この歌詞ですが、なかなか不思議な世界が広がっています。題材は「山」のようなのですが、これはきっと比喩でしょうね。誰も名前を知らない山、ただそれを「宇宙の頂上」と呼ぶということ、2つの太陽、不毛の地、凍てつく寒さ(これだけは具体的に分かりますが)、などなど。その頂上を目指しているけれども、頂上にはたどり着けない。うーむ、ガンダーラのような場所なのでしょうか??
その一方、最後に出てくる「移り気な指導者」(日本語訳は歌詞カードから持ってきていますが、英語はDictatorなので独裁者、の方がイメージしやすいかもです)とか「不完全な予知」となると、これはもはや現実の場所ではなく、目指しても到達できないTop of the Universeというもの、何か自分の大きな、達成することがとてつもなく難しい目標の様にも思えてきますね。ただ、だとすると独裁者って誰?目標を大事に思っていたはずなのに、それを「まー無理だし、達成できなくてもいいや」と思ってしまう自分自身の別の心の囁き?んー、謎は深まるばかりです。
これ以上、余計な詮索はしますまい。この曲の疾走感とともに、是非とも歌詞を味わってみてください(日本語訳は英語歌詞の下についています)。

Top of the Universe

There stands still a mountain
Overpowering existence
I’ve been climbing for a long time
I have to arrive at the top

Two suns float in the sky
And the wastelands extend everywhere
I am chilled to the bone
But I have to arrive at the top

Nobody knows the true name of the mountain
It’s called the Top of the Universe
Any phenomenon is the reason
For giving up the climb

“Changeable weather”
“Moody wind”
“Incomplete knowledge”
“Evasive answers”

There stands still a mountain
Overpowering existence
I’ve been climbing for a long time
I have to arrive at the top

“Changeable weather”
“Moody wind”
“Incomplete knowledge”
“Evasive answers”

Two suns float in the sky
And the wastelands extend everywhere
I am chilled to the bone
But I have to arrive at the top

“Changeable dictators”
Top of the Universe
“Incomplete foresight”
For giving up the climb

山は聳えている
圧倒的な存在感で
私は長い間登り続けている
頂上に辿り着かなくてはならない

二つの太陽が浮かび
不毛の地が拡がっている
骨まで凍えても
頂上に辿り着かなくてはならない

誰も山の本当の名前を知らない
人は呼ぶ“宇宙の頂上”と
ここで起こりうるすべての現象は
あきらめる為の理由

“変わりやすい天気”
“気まぐれな風”
“不完全な知識”
“曖昧な答え”

山は聳えている
圧倒的な存在感で
私は長い間登り続けている
頂上に辿り着かなくてはならない

“変わりやすい天気”
“気まぐれな風”
“不完全な知識”
“曖昧な答え”

二つの太陽が浮かび
不毛の地が拡がっている
骨まで凍えても
頂上に辿り着かなくてはならない

“移り気な指導者”
「宇宙の頂上」
“不完全な予知”
すべてはあきらめる為の理由