BARAKA歌詞の世界(7) Come Fly with Me

歌詞入りのBARAKAの楽曲を集めたTHE BEST OF BARAKA SONGSの収録曲の歌詞について書いてきておりますが、そのDisc1の7曲目がCome Fly with Meです。全部で19曲収録されていますから、まだまだありますねー(^_^;)。

この曲、3枚目に収録されているだけで、その後は取り上げられておらず、「久々に聴いた」「初めて聴いた」という方も多いかも知れませんね。ロケットの打ち上げ場面のような音から始まり、その後、淡々と同じビートのドラムとベース音が刻まれる中、宇宙空間を漂うかのようなギター音と静かな歌声が特徴的な曲です。
さて、歌詞です。歌詞を普通に読んだだけではなんだろう、という感じがするかもしれませんね。ただ、歌詞カードの最後には「鬼塚飛行士に捧ぐ」と書かれていて、それがこの曲を紐解くカギになっています。
鬼塚(Ellison Onizuka)飛行士、覚えている方もいるかもしれません。1986年1月28日、スペースシャトルチャレンジャー号の打ち上げ直後の爆発事故でお亡くなりになられた日系三世です。ハワイ島のコナ生まれで、お父様が福岡、お母様は広島にルーツを持たれていたそうです。
彼は日本にルーツがあることを誇りに思い、箸を使って食事をしたり、家には日の丸を掲げていたそうです。また、父方のルーツである福岡県浮羽町(現在のうきは市)を訪れたりもしています。
この曲のタイトルにあるCome Fly with Meは、チャレンジャー号に乗り込む前に母に送った手紙の最後に書かれていた文章です。ということで、歌詞にある「愛する人」は「母」ということになりますね。
彼の業績、そしてその人柄から、死後も多くの人に称えられ、その名前が残っています。例えば、ハワイ島にあるコナ国際空港は2017年1月に「エリソン・オニヅカ・コナ国際空港」に名称が変更されています。また、福岡県うきは市でも「エリソン・鬼塚氏とのつながりを後世に語り継ごう」ということで、2016年には没後30年記念イベントが開かれています。そして2017年にはなんと、彼がチャレンジャー号に持ち込んだサッカーボール(チャレンジャーの残骸から奇蹟的に回収されたもの)が31年という時を経て宇宙ステーションに届けられました。
ネット等で調べると様々な情報が得られますが、彼の人柄と故郷ハワイと日本への思いの強さは感動的なものがあります。きっと、そうした人柄に想いを馳せ、無念の事故を思い、作られたのがこの曲なんでしょうね。
そう思って聴くと、少し違って聞こえてくる気がしませんか。

Come Fly with Me

He had gone to the world
That nobody knows
He left these words
To his loved ones

“Come fly with me”
“Come fly with me”

The shuttle was launched into the universe
The nightmare was launched into the sky

“Come fly with me”
“Come fly with me”

The sky was broken into pieces
Time stood still for a while

“Come fly with me”
“Come fly with me”

The prayer missed their target
The prayer wasn’t heard

誰も知らない世界へと彼は旅立った
愛する人への言葉を残して

Come fly with me
Come fly with me

シャトルは宇宙へと 悪夢は空へと

Come fly with me
Come fly with me

空は粉々に砕け 白い時間だけが漂っていた

Come fly with me
Come fly with me

祈りは届かなかった
祈りは届かなかった

BARAKA歌詞の世界(6) How Deep is the Sky?

さて、6曲目。How Deep is the Sky?です。もともとは3rdアルバムBharmadのラストに収録されていたのですが、Baraka VIではアコースティックかつちょっとショートバージョン。ベストのSongsに収録されているのもこちらですね。短い分、元々あった歌詞でないところがあります。
この曲はご存知の方も多いと思いますが、明治・大正・昭和を生きた、といっても実は26歳の若さで亡くなられた女流詩人、金子みすゞさんの詩「大漁」がモチーフとなっています。金子みすゞさん、最近はいろいろなところで取り上げられていますね。
「大漁」という詩、是非ともネット等でご確認いただければと思いますが、その内容は歌詞の冒頭に出てくる部分にある通りです。「大漁に喜ぶ人々」と「海底に広がる無数のイワシの葬式」との対比という、何とも言えない深みのあるというか、重みのある詩です。
それにしても何故に曲のタイトルは「空はどのくらい深い?」なんでしょうか。イワシの大漁話が「空の深さ」とはこれ如何に?しかも「広い」ではなく「深い」とは?そして歌詞にある「君の」とは(英語ではin your life)?ここは皆様自身で考えてみてください。「真昼の星」という言葉もいったいどこから?
でも、そんな謎解きは無粋かもですね。金子みすゞさんももちろんとてつもなく素晴らしいのですが、それをモチーフにしたこの歌詞(BARAKAワールドであり、依知川ワールドですね)もなんとも味わいのある、哲学的な歌詞に仕上がっています。何も考えず、感じればよいのかも。

因みに、金子みすゞさんの代表的な詩、「私と小鳥と鈴と」の最後に「みんなちがって みんないい」という有名な一節がありますが、まさにBARAKAの三人って、「みんなちがって みんないい」ですよね(笑、ちょっと意味違うかもですが)。
ということで(どういうこと?)、是非とも曲を聴きながら歌詞の世界を味わってみてください。

How Deep is the Sky?

The people that caught the sardines
Rejoiced and celebrated
But meanwhile
At the bottom of the sea
How many funerals were held

This wonderful story was written by a lady poet in the 1920’s
Now is the right time to think about what she said
She was the “Golden Child”
She was the “Beautiful Bell”
Can you see the midday stars?

The people that caught the sardines
Rejoiced and celebrated
But meanwhile
At the bottom of the sea
A million funerals were held

How deep is the sky in your life?
We are what we feel
How deep is the sky in your life?
We are what we want

How deep is the sky?
How deep is the sky?

 

「大漁のイワシを前に祭のように喜ぶ人々
海の底ではどれだけのイワシの弔いが……」

これは1920年代に女流詩人によって書かれた詩
今こそが彼女の言葉を考える時なのではないだろうか
彼女は「金の子供」
彼女は「美しい鈴」
君に真昼の星は見えるかい?

「大漁のイワシを前に祭のように喜ぶ人々
海の底では何万ものイワシの弔いが……」

君の空の深さはどのくらい?
人は感じ方でわかるもの
君の空の深さはどのくらい?
人は求めるものでわかるもの

君の空の深さはどのくらい?
君の空の深さはどのくらい?

BARAKA歌詞の世界(5) SEA

この曲、1stアルバムに収録されていますが、その時の歌詞は日本語でした(最後だけ英語ですが)。5枚目のアルバムに再収録される際にアレンジも少し変え、歌詞も英語に。ただし歌詞のに込められた意味は同じで、「女性は海である」ということ。そして「母」と「海」の不思議なつながりについても歌われています。歌詞の中にある漢字はお分かりだと思いますが、フランス語は母がmèreで海がmer、発音は同じメール、なるほど、ううむ、深い。因みに英語でメール(メイル、Male)はオス、つまり男性ですが、ま、それはどうでもいいですね(^_^;)。
ところで、この歌詞、愛する女性への歌ともとれなくはないですが、BARAKAって恋愛の曲、結構まれであることに今さらながら気づかされました!その観点で歌詞を見ると、万葉集的な表現とも受け取れなくもないような……。
あとは歌詞を読んでいろんな想像をめぐらせてみてください。曲も聴きながら是非聞いて見て頂ければ。

Sea

Sometimes I feel the sea in you
Sometimes I touch the sea in you
I can’t explain in words
The sea and you have marvelous power
I heard the water, it’s like seawater

“Sea” is in “Mother” in French
“Mother” is in “Sea” in Chinese
They are the same both great and grand
I remember something mysterious in you

I give myself to quiet waves
I flow and go nowhere
There’s nothing to be afraid of

I’m nestling on the flood
I’m nestling up to you
I’m nuzzling on the ebb
I’m nuzzling up to you
I’m longing for the past
I remind myself to be with you

Sometimes I feel the sea in you
Sometimes I hear the sea in you
I can’t explain in words
The sea and you have marvelous power

I leave myself to raging tempests
I fall and go nowhere
There’s nothing to be afraid of

I’m snuggling with the flood
I’m snuggling up to you
I’m cuddling with the ebb
I’m cuddling up to you
I’m thinking of the past
I remind myself to be with you

I’m drifting on the sea
I’m floating on the sea
I’m drifting on the sea
I’m melting into you

 

時々あなたに
海を感じ 僕は触れる
言葉になんてできない
海もあなたも不思議な力で溢れてる
羊水は海水と同じ成分だって
誰かが言ってた

フランス語では“母”の中に“海”があり
漢字では“海”の中に“母”がある
海も母もなんと偉大なことか
あなたの中で神秘を思い出す

凪いだ海に身をゆだね
あてもなく漂う
恐れるものなど何もない

満ち潮に横たわり
あなたに寄り添い
引き潮に横たわり
あなたに寄り添う
太古に思いをはせ
自分を思い出す

時々あなたに
海を感じ 僕は聴く
言葉になんてできない
海もあなたも不思議な力に溢れてる

嵐の海に身をゆだね
どこまでも落ちていく
恐れることなど何もない

満ち潮に横たわり
あなたを抱きしめ
引き潮に横たわり
あなたを抱きしめる
太古を思いめぐり
自分を思い出す

海に漂い 漂い あなたに溶ける

BARAKA歌詞の世界(4)Top of the Universe

歌詞の世界。続きましては、Top of the Universe。
BARAKA6枚目、つまり歌詞入りの楽曲が入っている最後のアルバムに収録されています。
疾走感のある曲展開、そして間奏部分の変幻自在な転調が耳に残る、これも名曲です。
歌部分も、依知川さんと一生さんの掛け合いが絶妙で、うぉーー、って感じになります(すいません、一人で勝手にテンションあがってしまいました(^_^;))。
さて、この歌詞ですが、なかなか不思議な世界が広がっています。題材は「山」のようなのですが、これはきっと比喩でしょうね。誰も名前を知らない山、ただそれを「宇宙の頂上」と呼ぶということ、2つの太陽、不毛の地、凍てつく寒さ(これだけは具体的に分かりますが)、などなど。その頂上を目指しているけれども、頂上にはたどり着けない。うーむ、ガンダーラのような場所なのでしょうか??
その一方、最後に出てくる「移り気な指導者」(日本語訳は歌詞カードから持ってきていますが、英語はDictatorなので独裁者、の方がイメージしやすいかもです)とか「不完全な予知」となると、これはもはや現実の場所ではなく、目指しても到達できないTop of the Universeというもの、何か自分の大きな、達成することがとてつもなく難しい目標の様にも思えてきますね。ただ、だとすると独裁者って誰?目標を大事に思っていたはずなのに、それを「まー無理だし、達成できなくてもいいや」と思ってしまう自分自身の別の心の囁き?んー、謎は深まるばかりです。
これ以上、余計な詮索はしますまい。この曲の疾走感とともに、是非とも歌詞を味わってみてください(日本語訳は英語歌詞の下についています)。

Top of the Universe

There stands still a mountain
Overpowering existence
I’ve been climbing for a long time
I have to arrive at the top

Two suns float in the sky
And the wastelands extend everywhere
I am chilled to the bone
But I have to arrive at the top

Nobody knows the true name of the mountain
It’s called the Top of the Universe
Any phenomenon is the reason
For giving up the climb

“Changeable weather”
“Moody wind”
“Incomplete knowledge”
“Evasive answers”

There stands still a mountain
Overpowering existence
I’ve been climbing for a long time
I have to arrive at the top

“Changeable weather”
“Moody wind”
“Incomplete knowledge”
“Evasive answers”

Two suns float in the sky
And the wastelands extend everywhere
I am chilled to the bone
But I have to arrive at the top

“Changeable dictators”
Top of the Universe
“Incomplete foresight”
For giving up the climb

山は聳えている
圧倒的な存在感で
私は長い間登り続けている
頂上に辿り着かなくてはならない

二つの太陽が浮かび
不毛の地が拡がっている
骨まで凍えても
頂上に辿り着かなくてはならない

誰も山の本当の名前を知らない
人は呼ぶ“宇宙の頂上”と
ここで起こりうるすべての現象は
あきらめる為の理由

“変わりやすい天気”
“気まぐれな風”
“不完全な知識”
“曖昧な答え”

山は聳えている
圧倒的な存在感で
私は長い間登り続けている
頂上に辿り着かなくてはならない

“変わりやすい天気”
“気まぐれな風”
“不完全な知識”
“曖昧な答え”

二つの太陽が浮かび
不毛の地が拡がっている
骨まで凍えても
頂上に辿り着かなくてはならない

“移り気な指導者”
「宇宙の頂上」
“不完全な予知”
すべてはあきらめる為の理由

BARAKAオーストリア紀行(3)

ライブの翌日、メンバーは再びAkiConの会場へ。いろいろな人にご挨拶したり、声かけられたり、写真撮影を頼まれたり(笑)。前回お話しした通り、コスプレイヤーで溢れているわけですが、BARAKAのメンバーもコスプレではないものの、明らかに「目立つ3人組」ですし、本物の日本人(笑)ですから、注目の的です。因みに、下の写真に一緒に写っている方の手に持っている旗(?)と帽子の文字は彼女自身が書いたそうです(笑)。文字のチョイスについては、なんと申し上げればいいのか(^_^;)。
グラーツからウィーンへは、車で送ってもらうつもりだったのですが、そうすると夜になってしまう、ということで、荷物だけ運んでもらうことにして一行は電車旅をチョイスしました。オーストリアの仲間との旅も楽しいですが、滅多にできない海外電車旅もいいかなー、ということでこの選択。
グラーツ駅で食料と飲み物(ビールにワイン)を買い込み、特急電車へ。幸いそれほど混んでおらず、のんびりとしたご機嫌快適電車旅となりました。
ウィーンではホテル(アパートの一室がホテルになっているような広いホテルでした!)にチェックインした後、街を散策しつつディナーへ。適当に選んだイタリアンレストランでしたが、なかなかおいしかったですね。
翌日はヴェルヴェデーレ宮殿へ。ここは巨大な宮殿であり美術館でもあります。マリーアントワネットもここで過ごしたことがあり、モーツァルトも演奏したことがあるというものすごい場所です。クリムトの有名な「接吻」という絵などを見学し、どさくさに紛れてナポレオンとパチリ(笑)。
そして昼食は近くにあるザルムブロイというビール醸造もしているレストランへ。そこで、当然ビールに名物のスペアリブなどを堪能し大満足の三人(アングルの関係で依知川さん写らず(^_^;))。その後、ウィーン市街をいろいろと散策して(お天気も良くて最高に気持ちのいい日でした!)、定番のモーツァルト・ハウスやら、ホテルザッハやらを見学。一日目いっぱい楽しんで、夜にウィーン空港から日本へと旅立ったのでした。

BARAKA歌詞の世界(3)Butterfly

BARAKA歌詞の世界、続いてはBARAKAの代表曲の一つButterflyです。
最近BARAKAを聴いている方は、このベストアルバムのButterflyのアレンジに、「おや!?」と思ったかもしれません。イントロが不思議な展開ですよね。
この曲、実は(今や幻の?)デビューアルバムに入っているのですが、その頃はむしろこのアレンジメインでした。聴ける方は是非とも聴き比べてみてください。
さて、歌詞を見てみましょう。最初の歌詞に出てきますが、「蝶が海を越える」というのがこの曲の原点になっています。秋になるとカナダからメキシコ湾を越えてメキシコに渡るという驚きの蝶、オオカバマダラ(そして春にはまた戻る!)の生態に魅せられ、この曲につながったのだそうです。その移動距離、なんと3000キロを超えるというから本当にびっくりですね。
なお、実はこのような蝶、日本にも生息しているそうです。アサギマダラという種類ですが、夏場は八ヶ岳など標高の高い涼しい山岳地帯に生息し、秋から冬になるにつれて、九州、沖縄、さらには台湾にまで移動するそうです。その移動距離も2000キロを超えるそうです。

因みに、海を渡る蝶といえば、BESTアルバムでもある「ATLANTIC」のジャケット写真がまさにそのイメージですよね。にもかかわらず、このBESTアルバムにはButterflyは収録されていない、って気づいていました?(笑)

ということで、歌詞をご堪能ください(日本語訳は下に)

Butterflies fly across the ocean
As a matter of course
They have no fear or doubt

What about us
We hesitate and we are lost
I wonder what we have
That is worth protecting

Butterflies fly across the ocean
When they are tired, they rest on waves

Test your wings, Don’t set your limit
Test your wings, Don’t set your limit

Butterflies fly across the ocean
They know where they must go
What about us
We’ve got to find the real meaning of life
Most people never escape the cocoon

蝶は海を越えるという
それがあたりまえだというように
彼らには恐れや不安はない

はたして我々はどうだろうか
時にためらい時に迷ってしまう
守るに値する大事なものが
本当にあるのだろうか

蝶は海を越えるという
疲れたときは波の上に羽を休めて

自分を試してみるといい
限界なんてないんだ
自分を試してみるといい
限界なんてないんだ

蝶は海を越えるという
彼らは知っている
どこに行けばいいのかということを

人は生きるということの
本当の意味さえ知らない
まだ繭から抜け出せないでいるんだ

BARAKAオーストリア紀行(2)

少し更新が遅れてしまいましたが、オーストリア紀行その2です。
前日の夜、ライブ会場でセッティングしましたが、その時は暗かったし、人も少ないので全体像はよく見えず。
ということで、改めて翌日、昼ごろに会場入りしました。
そもそも、今回はどんなイベントなのか、というと、AkiConというイベント。
AkiConってなんだ、ドイツ語だし意味不明、と思ったらこれ、実は「秋」のConvention(コンベンション)の略なんだそうで。
Conventionって集会ですよね。では何の集会かというと、まあ大きく括れば「日本」の「文化」を知る集会ということなのですが、そうなるとやはり中心的な興味は「アニメ」ということになります。そう、アニメの集会だったのです。これ、海外でも流行っているとは聞いていましたが、現地での日本のアニメの人気ぶりはものすごいものがありますね。会場にふつーに日本語のアニメが日本語で流れていて(字幕付き)、みんながそれを見ている姿はなかなか不思議なものがあります(しかも流れているアニメも相当マニアックなもの、というか、BARAKAメンバーは見たことも聞いたこともない最近の作品が主でした(笑))。
そんな中でまず行われたのが依知川さんの「書」の教室、というか書のデモンストレーション!
アニメファンが多い中、ある教室みたいなところで開催されるので、人来るのかなーと心配していましたが、開催前から何人も部屋で待っていてくれて、一安心。数十人の方にお集まりいただきました。さて、ドイツ語なんだけどどうするのかな、と思っていたら、通訳の方も登場。この方、日本に何年か住んでいたそうですが、日本語力がハンパない!漢字にも精通していて、ところどころ怪しげながら、巧みに会話をつないでくれました。
イベントでは依知川さんが会場の皆さん一人一人に(それも本当に丁寧に)「好きな言葉」を聞いて、それを書にしたためる、という、これまたライブ感満載の企画。難しいお題(忘れてしまいましたが、漢字になりにくい鳥の名前とか、あげくはポケモンまで)にも、様々な創意工夫で文字を書いていく依知川さん、さすがでした。参加者大満足のイベントになりました。
休憩時間、ブースなどを見て回りましたが、今度はコスプレの人たちの多さにびっくり!我々の控室でいきなりストームトルーパーに遭遇したのにはびっくりでしたが、一緒に写真に納まりました(笑)。
さて、そして夜のライブ!会場にはあちこちにコスプレイヤーがいて、何となく不思議(笑)。でもそんな人たちが一生懸命ペンライトを振ってくれているのも楽しいものです。
会場自体も体育館のような作りで、写真をよーく見て頂けるとベースアンプがパイプ椅子の上に置かれていたりと、手作り感満載です。
そんな中ですが、BARAKAの演奏が始まるとやはりBARAKAの世界に包まれてしまうのがすごいところです。約1時間強の演奏を終え、次々と写真や握手を求めるファンたちと交流しながら(こうなると言葉は不要ですね)、無事にライブイベントは終了しました。
片づけが終了したらもう10時半くらい。オーストリアでは、ましてやグラーツの郊外では殆ど空いている店はなく、かろうじて開いていたピザ屋さんに連れて行ってもらい、正直どれを食べても同じような3種類のピザとビールで疲れをいやしたBARAKA一行でした。

さて、ここからは翌日の移動およびウィーン珍道中ですが、それは次回に!

 

BARAKA歌詞の世界(2)Mice and Elephants

BARAKA歌詞の世界第二弾、今回は4枚目のアルバムBharmadの2曲目に収録されていたMice and Elephantsです。

タイトルからピンとくる方もいるかもしれませんが、「ゾウの時間 ネズミの時間」という本からヒントを得た歌詞と推察されます。歌詞もそんな感じですしね。
1992年に発刊されたこの本、当時は一大ブームと言っていいほど売れました。
そしてなんど絵本にもなっているんですね。
動物にはサイズに応じてそれぞれ固有の心臓鼓動のペースがあり、固有の時間があるというお話です。

因みにこの曲、16分の17拍子で始まり、途中から3拍子、さらに途中にはカウント不可能な部分も(^_^;)。
ネズミにも、ゾウにも、そしてBARAKAにもそれぞれのペースがある、ということがこの曲のイイタイコトだったりして(笑)。

 

Mice and Elephants

Mice and Elephants
They have their own pace
Mice and Elephants
They have their own time

I am here, you are here
We are here, you are here

Sometimes I feel uneasy
About my future
I know there is no doubt
The fortune-telling is a job

One king was taking Mercury
To live a long time
Nothing could stop his greed or passions
He didn’t know
Wicked gambling brought bad luck

The number of heartbeats is limited
One is fast, one is slow
Don’t judge the length of time
By our own standard
A positive fact is only in the present

Mice and Elephants
Mice and Elephants

 

(日本語訳)
ネズミとゾウ
彼らはそれぞれのペースを持っている
ネズミとゾウ
彼らはそれぞれの時間を持っている

僕はここにいる 君はここにいる
僕達はここにいる 君達はここにいる

時々未来に対する不安を感じる時がある
占いがひとつの職業だってことは明白だけど

ある王様は長寿のために水銀を服用していた
彼の欲望は何ものにも止めることはできなかった
彼は知らなかった 邪(よこしま)な賭けは
悪い結果しかもたらさないってことを

心臓の鼓動の数は限られている
あるものは速く あるものはゆっくりと
人間を基準に時の長さを計ってはいけない
確かな事実は目の前にしかないのだから

ネズミとゾウ
ネズミとゾウ

BARAKAオーストリア紀行(1)

2019年10月、BARAKAはオーストリアのあるフェスに招待され、その演奏のためオーストリアへ。その模様の一部はFBなどでもお伝えしましたが、このブログでも紹介しようと思います。題して、BARAKAオーストリア紀行(ベタなタイトルですいません)。

10月10日の夜、羽田空港を出発したBARAKA一行。ドバイ経由でウィーンへ向かいました。トランジットでの待ち時間も含めると、羽田についてからウィーンまででほぼ24時間というなかなかの長旅。しかもそのあとウィーンから車で3時間、約250キロ先にあるグラーツという街へ向かったので、それはもうヘロヘロ。ただし、道中とても天気が良く、暖かかったので気持ちのいいロングドライブだったのが救いでした。
その日の晩御飯は近くのレストランへ。ミックスグリルを頼んだのですがとにかく量が多い!特にポテト!!なんじゃこりゃというボリュームに悪戦苦闘しておりました。

グラーツで泊まったホテルは研修施設などが併設されていて、宿泊客の多くは、研修合宿中といった感じでした。変わっているのが入口にある自動販売機。ビールや飲み物は当然あるのですが、ボトルワインや、タマゴにりんごにはちみつまで売ってます(バー○ントカレーでも作るのかしらん(笑)?)。で、折角なので試しにとビールを買おうとしたら、お金を入れても機械が反応しない!?何でなんで、と大騒ぎしましたが、フロントの方に聞いたら「年齢制限があるので」とのこと。フロントの方がカード(日本でいうところのタスポみたいなもんなんでしょうね)をかざしてくれてようやく買えました(^_^;)。因みに写真をよく見ると自動販売機に「24時間営業」と書いてあります。実際、夜になるとほとんどの店は閉まってしまいますので、ビールには簡単にありづけず、しかも自動販売機使いたくても、フロントも夜は無人になってしまいます(^_^;)。結局初日はサウンドチェック後にガソリンスタンドに寄ってもらい、そこで飲み物を調達しました。なかなか旅行先では思い通りに行きません。日本って便利ですね。

ということで、いよいよライブに向かうのですが、それは次回!

写真は、羽田での元気なBARAKAと謎の自動販売機です。

 

BARAKA歌詞の世界(1)The Definition

こんにちは。
昨年発売された、The BEST of BARAKA SONGS、聴いてますか。
これは「SONGS」というだけあって、歌詞入りの曲のベストになっています。
ただ、諸般の事情でCDには歌詞カードが入っていません(涙)。
ということで、だいぶ時間が経ちましたが、折角なのでこの場で徐々に歌詞を紹介していきたいと思います。

まずはDisc1のオープニングを飾る「The Definition」!
Definitionとは日本語だと「定義」となります。
定義というと、数学などでも用いられる「堅い」用語です。
歌詞の世界にはあまり馴染まないような気もしますね。

さて、この曲ではどのような意味で「定義」を用いているのでしょうか。
なお、歌詞の中で出てくる「定義」はたったの一回です。
それは「美の定義」という言葉。
ただし、そこはBARAKA。その歌詞に秘められた内容は単純ではありません。
歌詞全体に「んーなるほど、定義って何?」と思わせる深いものがあります。

それはじっくりと歌詞を味わって頂ければと思います。曲も是非お聴き下さい。

(日本語訳も下に掲載しています)

 

The Definition

( a) A day in the life of a convict)
I woke up late in the morning
There’s no change in my days
I’m a convict all alone
In a damp room with no windows

I can justify my conduct to you
I did it for the human race
I only ripped some old pictures
Displayed in the museum

Those were rubbish trash and junk
I’m not guilty

Here comes the pain
They force me to re-educate
I hate the meaningless programs
Please just hang me

They make me memorize the names of flowers
They make me listen to outdated music
And make me read poetry and biographies

The final program is a movie
Every time the theme is “Beauty”
I must write a paper on “Beauty”
“The Definition of Beauty”

They turn the lights off
The movie comes on…

( b) Falstaff)
This is a tale of a town called “Falstaff”
The people were all past middle age
And there were no women
They were simple but kind at heart
The birds were singing in the trees everywhere

Without exception
They were all very fat
And challenged each other
To grow their bellies
They were proud of their style
The mayor was born in 2075
A cheerful person, he was respected

At night he locked himself in his study
And opened the magazine that was forbidden
A special number featuring articles on the 20th century rock stars
“What is beauty?”
And he sat down again

They were proud of their style
And believed their sense of “Beauty”

The sun of the town comes up as usual
The birds are singing in the trees everywhere

 

(日本語訳)
( a) ある囚人の一日)
午前中ゆっくりと目が覚めた
変化のない退屈な日々
俺は囚人
窓のない湿った部屋に隔離されている

俺は正当だということを主張したい
人類のためにやったのだ
美術館に飾ってあった19世紀の絵を
切り裂いただけじゃないか

まったくもってくだらない陳腐なガラクタを…
俺は無罪だ

苦痛の時間がやってきた
俺は再教育を強要されている
全く意味のないプログラム
縛り首にしてくれた方がよっぽどましだ

全ての花の名前を覚えさせられ
時代遅れの音楽を聴かされ
詩や伝記を読まされる

最後のプログラムはフィルムを見ること
毎回テーマは“美”だ
“美”について“美の定義”について
レポートを提出しなければならない

明かりが消され映画が始まる

(b)ファルスタッフ)
ファルスタッフと呼ばれる街の物語
住民は中年を過ぎた人達だけ
そのうえ女性は一人もいない
単純だけど心優しき人々
いたるところで鳥がさえずっていた

例外なく彼らは太っていた
太鼓腹の形を競いあっていた
彼らは自分達のスタイルを誇りに思っていた
市長は2075年生まれ
明るい人柄で尊敬されていた

夜になると彼は書斎に引き篭って
発売禁止のマガジンを手にとる
20世紀のロックスターの特集号だ
“美”とは何だろう?
彼はまた考え込んだ

彼らは自分たちのスタイルを誇りに思い
美的感覚を信じていた

ファルスタッフの朝は今日もやってくる
いたるところで鳥がさえずっていた